
いつも悩む洗剤選び。パッケージのデザインで選んだり、値段で選んだり、口コミで選んだり。過去の私がそうだった。
そこでプロが実践している洗剤の買い方、選び方、使い方をご紹介する。洗剤選びの参考にしてほしい。
新築営業、リフォーム営業、現場監督の経験と自身の自宅建築から学んだことを発信しています。住宅に関することは、失敗したくないけど情報が多すぎて実際の話が分からないと感じていたことから体験談踏まえた情報をシェアします。
「場所」ではなく「液性」から選ぶ

洗剤を選ぶとき、「トイレ掃除」「お風呂掃除」というように場所ごとに選んでませんか?
まさにこれまでの私。
しかし、場所ごとに購入してほしいのは企業の都合であり、私たちの消費者の都合からではない。
なぜなら、洗剤で大切なのは液性だから。なので掃除のプロたちは「場所」ではなく「液性」から洗剤を選んでいる。
洗剤は大きく分けると酸性・中性・アルカリ性の3つの液性があり、どの汚れに対してどの液性を使うかが大事。企業は場所ごとに商品名をつけて販売しているけれども、洗剤って正直そんな種類はいらない。ただ企業は儲からないからそんなことはしないけれども。
この事実を知ることで場所ごとに洗剤を買うのではんく液性から選んでほしい。必要な洗剤だけ持つことで、洗剤の保管場所も、ストックも減らせる。お財布にも優しい。
家の汚れの大半は酸性
新築が汚れていく過程で思う。家の汚れってなに?。キッチンで料理するから油よごれ。あとは洗面で洗顔や手を洗うから皮脂の油よごれ。お風呂では体を洗うから同じく皮脂や頭皮の垢=油汚れ。ソファや布団で人の座ったり寝たりして付着する人の皮脂の油汚れ。人が生活する場所=家。だから油汚れが多い。のは当然のことか。油汚れは酸性の汚れと言われている。だから家の大半は酸性の汚れといっても過言ではない。
酸性以外の汚れを考えると、蛇口や鏡などにつく水アカ。カリカリ系。これは水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどがその場に残って乾燥して固化した汚れ。こういう水アカはアルカリ性の汚れになる。水回りの割合で考えるとアルカリの汚れは酸性の汚れと比べると少ない。
あとパッと思いつくのが水回りのピンク汚れ。これは皮脂をエサに発生する。つまり酸性の汚れが原因。
他はホコリとか玄関の泥の汚れとか。泥汚れは、泥だから洗剤の化学の力を使う前に、まずは泥を取り除くことが大事。だからどちらともいえない。ただ泥で汚れたユニホームとかは汗もあるから汗=皮脂=油汚れ。つまり酸性。
家は生活するといろいろな原因で汚れるけど、理屈さえわかれば案外怖いものなし。時には複雑な汚れもあるけれども。
日々のお手入れは中性~弱アルカリ性洗剤
家の大半が油汚れ=酸性なら、化学の力で汚れを落とすなら日常のお手入れの洗剤は中性~弱アルカリ性洗剤でいい。なぜなら汚れは中和させることで取れるから。酸性に酸性の洗剤を使っても中和しないから汚れは取れない。
余談として中和するって何?って話。簡単に言うと酸性H+とアルカリ性OHのイオンが結びついてH2O(水)になる。って感じ。だから汚れが取れる。
ちなみに中性洗剤はなんで汚れを落とせるのか。界面活性剤が入っているから。これは最後に解説する。
液性ごとの特徴
ここからが洗剤の液性の話。液性?って思うけれども、汚れについて理解した後なら大丈夫。家の汚れを洗剤の化学の力で中和させたいだけ。中和させるためには洗剤の液性、つまり中性・アルカリ性・酸性を知っておけばいいよねって話。
中性洗剤
キッチンやお風呂など取扱説明書を見るとよーく出てくるのがこの中性洗剤。なんでかなーと思うこともあったけど、その理由は中性洗剤は「素材をいためにくい」特徴があるから。メーカーからするとこれほど使いやすい液性はない。
いろんなところに使うことができて、中性洗剤は、キッチン・洗面台のシンク、トイレ、フローリング、最近多いガルバニウムの外壁なんかにも使える。
商品名でいうと「キュキュット」「ウタマロ」が中性洗剤。
台所洗剤の「キュキュット」さえあれば、家の掃除はほぼ事足りるっていう事実。
弱アルカリ性洗剤
まずアルカリ洗剤ってなに。っていう話。アルカリ洗剤は、油汚れ=酸性汚れに使うと中和できる。アルカリとあぶら。どっちも「あ」がつくから覚えやすい。ただアルカリ洗剤にも「強」・「弱」があるから要注意。
なので弱アルカリ性洗剤は、かるーい油汚れとか手アカの油汚れに使う。
商品名でいうと「マイペット」「ワイドハイターPRO協力分解パウダー(酸素系ハイター)」「重曹水」が弱アルカリ洗剤。
素材を痛めにくいと言われている。だけど中性洗剤と比べると穏やかなんだけども化学の力(化学反応)で汚れを落とすから、使えないものもある。自然素材(大理石)とか車の塗装面とか水がしみこむ家具とか。
強アルカリ性洗剤
名前の通り「強」アルカリ洗剤。強い化学の力(化学反応)で汚れを落とすから、素材を傷めやすいし、人体への影響も大きい。それぐらい強い洗剤。
なので強アルカリ性洗剤は、頑固な油汚れやカビに使う。
商品名でいうと「ハイター(塩素系漂白剤)」。塩素系漂白剤とも言われる。あとは100均の「アルカリ電解水」とかもPH値が11~12で実は強アルカリ性。
但し、100均の「アルカリ電解水」は一度開封するとアルカリの濃度が次第に弱くなるので、早めに使いきるのがコツ
強アルカリ性洗剤を使うときは、長時間つけ置きしないことや手袋・ゴーグル・換気を必ずすること。あとは酸性洗剤と混ぜたら絶対だめ。有毒ガスを発生してとっても危険。
強酸性洗剤
ここからは強酸性洗剤。そもそも酸性洗剤ってなに。っていう話。酸性洗剤はカチカチ系=アルカリ性の汚れに使うと中和できる。
強酸性洗剤も、強い化学の力(化学反応)で汚れを落とすから、素材を傷めやすいし、素材を変色させたり変質させたりする。長時間は放置してはいけないほど強い洗剤。
なので強酸性洗剤は、頑固な水アカに対して使う。
商品名でいうと「サンポール」「クエン酸水」が酸性洗剤。
水アカを取れるのに重宝する強酸性洗剤。だけど使うときは本当に注意してほしい。
例えば大理石につくとシミになる。洗面台の蛇口の水垢を取ろうとして強酸性洗剤を使った結果、天板の大理石についてしまいシミになった事故。
他にも鉄についてしまうとサビる。手洗いの排水の水アカを取ろうと強酸性洗剤を使ったら鉄部分がサビた事故など。
補足 界面活性剤って何。
よく洗剤の成分に「界面活性剤」って書いてるけど何?っていう話。分かったようで知らない。
すごいざっくりだけど界面活性剤は、水にも油にもなじむ。これが大事。界面活性剤の油になじむ部分が油汚れにくっつき、同時に水にもなじませようとしてくれる。だから界面活性剤を使うと油汚れが浮いてくる。コンロの油汚れに泡の洗剤を吹きかけたら泡がにごる。それがその状態。
中性洗剤はこの界面活性剤が入っている。だから酸性でもアルカリ性でもない中性洗剤でも、軽い汚れなら「油汚れ=酸性」でも「水アカ=アルカリ性」でも取れる。かつ中性洗剤は素材を傷めにくいからいろんな場所でよく使われる。
日本石鹸洗剤工業会のHPがとても分かりやすいので、もっと知りたい方は以下のリンクを参照してみて。
https://jsda.org/w/03_shiki/a_kaimen04.html (URL:日本石鹸洗剤工業会HP)
プロは界面活性剤と洗剤を自分たちで調合する。そこまでの知識はいらないけれども。そんな世界もあると知ると掃除の世界は奥が深い。